記事の要約
- 遠藤美幸講師等の共著『戦争のかけらを集めて』が刊行
- 第二次世界大戦の体験者不在時代に向けた11人の研究
- 戦友会や史資料を通じて戦争と向き合う新しい試み
神田外語大学遠藤美幸講師らによる戦争研究書の刊行
神田外語大学の遠藤美幸講師等による共著『戦争のかけらを集めて―遠ざかる兵士たちと私たちの歴史実践』が、2024年6月12日に図書出版みぎわから刊行されました。本書は、元兵士から非体験者への世代交代が進む中、戦友会や戦争を伝える史資料・メディアに向き合ってきた11人の研究者たちによる新しい試みです。
著者たちは、偶然出会った個人の生と死、戦後の片隅にいた集団の断片的な物語などを拾い集め、埋もれた歴史経験のリアリティを描き出しています。この取り組みは、第二次世界大戦の体験者不在の時代に向けて、過去とつながる方法を模索し、継承のあり方を構想する挑戦的な研究となっています。
本書は全3部構成となっており、第1部では非体験者による戦友会の存続について、第2部では元兵士をめぐるまなざしの交錯、第3部では残された言葉との対話を通じて、戦争の記憶と向き合う方法を探っています。各章では、具体的な事例を通じて、戦争の記憶を継承する新たな可能性が示されています。
『戦争のかけらを集めて』の概要
項目 | 詳細 |
---|---|
書名 | 『戦争のかけらを集めて―遠ざかる兵士たちと私たちの歴史実践』 |
著者 | 遠藤美幸講師 他 |
発行 | 図書出版みぎわ |
体裁 | A5判・並製・カバー装・320頁 |
価格 | 本体3520円(税込) |
発売日 | 2024年6月12日(水) |
ISBN | 978-4-911029-09-1 C0020 |
ニュースを読んでみた所感
本書の刊行は、戦争の記憶を継承する新たな方法を提示する重要な試みだと感じました。特に、非体験者が戦友会や史資料を通じて戦争と向き合う姿勢は、今後の歴史研究や平和教育に大きな影響を与える可能性があります。著者たちの多角的なアプローチは、戦争の複雑な側面を浮き彫りにし、読者に深い洞察を提供するでしょう。
今後は、このような研究をさらに発展させ、デジタル技術を活用した記録保存や、国際的な視点からの比較研究などが期待されます。例えば、VRやARを用いた戦争体験の再現や、異なる国の研究者との共同プロジェクトなどが考えられるでしょう。また、若い世代が戦争の記憶にアクセスしやすい形での情報発信も重要になってくると思われます。
本書の取り組みが、戦争の記憶を風化させないための新たな道筋を示していることは高く評価できます。しかし、同時に、このような研究が学術界にとどまらず、一般社会にも広く浸透していくことが望まれます。そのためには、メディアとの連携や、教育現場での活用など、研究成果を社会に還元する具体的な方策も今後検討していく必要があるでしょう。
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