記事の要約
- 新潟医療福祉大学が睡眠中の推定深部温計測法を開発
- 排卵の有無を高精度で判定する手法の有効性を確認
- 月経周期の把握によるQOL向上に期待
新潟医療福祉大学が睡眠中の推定深部温計測法を開発
新潟医療福祉大学健康スポーツ学科のスポーツ生理学ラボは、睡眠中の推定深部温を用いて排卵の有無を判定する手法の有効性を確認したと2024年8月28日に発表しました。この研究では、胸部皮膚温と衣服内の外気温から深部温を推定する方法を採用し、「わたしの温度」という胸部計測用ウェアラブルデバイスを使用しています。
研究チームは睡眠中の消化器温の実測値と推定深部温との関係を検証し、計測方法の妥当性を確認しました。また、起床時の口腔温計測と睡眠中の推定深部温計測による排卵の有無を判定する精度を比較し、新手法の有効性を検証しています。この研究成果により、女性の生活の質向上に繋がる月経周期や受胎可能期間の把握が、より簡便かつ正確に行えるようになる可能性が示されました。
研究結果によると、睡眠中の推定深部温は実測された深部温(消化器温)よりも低い値を示すものの、月経周期における体温変化パターンは一致していることが確認されました。さらに、睡眠中の推定深部温は口腔温計測と比較して、月経周期における体温の二相性変動をより明確に捉えることができ、高い精度で排卵の有無を判定できることが明らかになりました。
新潟医療福祉大学の研究結果まとめ
推定深部温 | 口腔温計測 | |
---|---|---|
感度 | 85% | 68.33% |
特異性 | 92.86% | 78.57% |
主な特徴 | 睡眠中に測定 | 起床時に測定 |
二相性変動の捕捉 | 明確に捉えられる | やや不明確 |
測定方法 | ウェアラブルデバイス使用 | 従来の体温計使用 |
ニュースを読んでみた所感
新潟医療福祉大学の研究チームが開発した睡眠中の推定深部温を用いた排卵判定法は、従来の口腔温計測よりも高い精度を示しており、女性の健康管理に大きな貢献をする可能性を秘めています。特に、感度と特異性の両面で従来法を上回っている点は、この新手法の有効性を強く示唆しています。ウェアラブルデバイスを用いることで、日常生活に組み込みやすい点も評価できます。
今後は、この技術をさらに発展させ、月経随伴症状の予測や認知機能の変動予測など、より広範囲な女性の健康管理に応用できる可能性があります。例えば、アプリと連携したリアルタイムの健康アドバイスや、個人に最適化されたホルモン療法の提案などが考えられるでしょう。また、スポーツ選手のコンディション管理にも活用できる可能性があり、競技パフォーマンスの向上にも寄与する可能性があります。
この研究成果が実用化されれば、女性のQOL向上だけでなく、不妊治療や家族計画にも大きな影響を与える可能性があります。さらに、月経周期に関連する様々な健康問題の早期発見や予防にも役立つかもしれません。今後は、より大規模な臨床試験や、長期的な使用による効果の検証など、実用化に向けた更なる研究の進展に期待が高まります。
コメント