トルコのラオディキアでスキュラ彫刻群が発見、アウグストゥス帝時代の最古かつ最も独創的な作品群として評価

トルコのラオディキアでスキュラ彫刻群が発見、アウグストゥス帝時代の最古かつ最も独創的な作品群として評価

PR TIMES より

記事の要約

  • ラオディキアでスキュラ彫刻群が発見
  • 西劇場の舞台建物から複数の彫刻が出土
  • 最古かつ最も独創的な彫刻群と評価

トルコのラオディキアで発見されたスキュラ彫刻群の詳細

トルコ共和国大使館文化観光局は2024年8月23日、西アナトリア地方のデニズリにあるラオディキアで、スキュラ彫刻群に属する彫刻一式が発掘されたことを発表しました。これらの彫刻は、ヘレニズム時代のバロック様式を反映しており、保存状態の良いオリジナルの塗装と芸術様式で際立っているとのことです。発掘作業は、トルコ文化観光省の「未来への遺産」プロジェクトの一環として行われました。

発見された彫刻群には、スキュラの頭部と手、オデュッセウスの胴体、スキュラの野犬に襲われて死んだ仲間の上半身の彫刻2体、オデュッセウスの船の舳先が含まれています。これらは西劇場の舞台建物の修復中に見つかりました。スキュラは神話に登場する上半身が美しい女性、下半身が複数の野犬の頭を持つ海の怪物として知られています。

ラオディキアのスキュラ彫刻群は、アウグストゥス帝の時代(紀元前27年~紀元後14年)に遡り、現在までに発見されたこの種の彫刻の中で最も古いものとされています。また、塗料、様式、美学、芸術的な質が当時のまま保たれており、最も独創的な作品群としても評価されています。特に、スキュラの頭部のバロック様式の職人技や、スキュラが持つボートのオールの塗料、獰猛なスキュラ犬に襲われた人物のリアルな苦痛の表情などは、世界でも類を見ない精巧さを誇っています。

これらの彫刻は、古代には西洋劇場の舞台棟の2階に展示されていたと考えられており、そのことが塗料の保存に役立ったとされています。一部の彫刻は、異教からキリスト教への移行により、壊されて楽屋裏の下の盛り土に捨てられたものもあるとのことです。また、特定の日には、この彫刻群が舞台上に展示され、語り部がホメロスの『オデュッセイア』を観客に向けて朗読していたことも確認されています。

ラオディキアは、セレウコス朝の王アンティオコス2世テオスによって築かれ、その妻ラオディケ王妃にちなんで名づけられました。この都市は歴史上最大の交易の中心地の一つとして知られており、キリスト教世界においても重要な意味を持つ場所です。現在、ラオディキアはユネスコ世界遺産暫定リストに登録されており、近隣のパムッカレと合わせて観光地としても注目を集めています。

ラオディキアで発見されたスキュラ彫刻群の特徴まとめ

発見場所 年代 様式 保存状態
特徴 ラオディキアの西劇場 アウグストゥス帝時代 ヘレニズム時代のバロック様式 オリジナルの塗装が良好
発見された彫刻 スキュラの頭部と手 オデュッセウスの胴体 死んだ仲間の上半身2体 オデュッセウスの船の舳先
芸術的価値 最古の彫刻群 最も独創的な作品群 精巧な職人技 リアルな表現
歴史的背景 『オデュッセイア』の一場面 劇場での朗読に使用 キリスト教化で一部破壊 交易の中心地ラオディキア

トルコ観光公式サイト

ニュースを読んでみた所感

ラオディキアで発見されたスキュラ彫刻群は、古代ギリシャ・ローマ文明の芸術的達成を示す貴重な遺物であり、考古学的にも芸術的にも非常に価値の高い発見だと言えるでしょう。特に、オリジナルの塗装が保存されていることや、バロック様式の精巧な職人技が見られる点は、古代の彫刻技術の高さを物語っています。また、これらの彫刻が『オデュッセイア』の朗読と共に使用されていたという事実は、当時の文化的な営みを生々しく伝えており、非常に興味深いです。

今後は、これらの彫刻群の詳細な分析や修復作業が進められることが期待されます。特に、使用されている顔料の成分分析や、彫刻技法の詳細な調査などが行われれば、古代の芸術技術についてさらなる知見が得られるかもしれません。また、この発見を契機に、ラオディキア遺跡全体の発掘・調査がさらに進展し、古代都市の全容解明につながることも期待できるでしょう。

さらに、この発見がトルコの観光業に与える影響も注目されます。ユネスコ世界遺産暫定リストに登録されているラオディキアの価値がさらに高まり、世界中から多くの観光客や研究者を引き付けることになるかもしれません。トルコ政府が進める「未来への遺産」プロジェクトの成果として、この発見が古代文明の保存と活用の良い例となり、他の遺跡の調査・保存活動にも良い影響を与えることを期待したいです。

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